2025.2.10 米ドナルド・トランプ大統領は、
紙製ストローの購入及び提供を禁止する大統領令に署名しました。
廃止の決定は、
主に環境政策、経済、利便性の観点からのものでしたが、
環境問題や経済的な観点からさまざまな議論を呼んでいます。
特に注目されるのが
森林資源の消費も伴い、
その製造過程における
・温室効果ガス（GHG）の排出量
・PFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合)含有も問題視されています。
◾️GHG問題と紙製品
紙製品の環境負荷は、
製造から廃棄までのライフサイクル全体で評価する必要があります。
紙の生産過程で、大量のエネルギーが消費され、二酸化炭素を含む温室効果ガスが排出されます。また、森林伐採が進むことで炭素吸収の機能が失われ、結果としてGHGの排出が増加する一因ともなります。
【GHGとは】
Greenhouse Gas（温室効果ガス）略で、
地球温暖化を引き起こす気体の環境用語です。
温室効果ガスは、世界中で問題になっている地球温暖化をもたらす原因物質のことで
温室効果ガスに最も大量に含まれるのは二酸化炭素ですが、その他にメタン、一酸化二窒素、さらに、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、六フッ化硫黄、三フッ化窒素などの代替フロンが含まれます。
これらの物質は、地上から出る熱を宇宙空間に放出することなく、熱を吸収して大気中に留める働きを持つのが特徴です。
温室効果ガスが増えて地球の温暖化が進むと、
環境破壊だけでなく生物の健康にも影響を及ぼすため、世界的に危機感を持って温室効果ガスの排出量削減を目指しています。
温室効果ガスの増加は地球温暖化や気候変動を引き起こし、深刻な影響を及ぼします。
◾️異常気象
気温上昇に伴い、台風や洪水、干ばつなどの異常気象の頻度と強度が増加し、多くの地域で自然災害が頻発します。
◾️生態系への影響
気候変動により、多くの動植物が生息環境を失い、生物多様性が脅かされます。
◾️人間社会への影響
農業や漁業に対する影響が深刻化し、食料供給の不安定さが増すことが懸念されています。また、健康問題も増加し、感染症の蔓延や熱中症の増加といったリスクが増加します。
◾️経済への影響
自然災害の増加や資源のエネルギーを使うということは、経済活動に直結しています。企業は生産コストの増加に直面し、最終的には消費者にその負担が及ぶことになります。
◾️PFAS問題と紙製品
PFAS（ペルフルオロアルキル物質）は、
耐水性や耐油性を付与するために使用される化学物質で、食品包装紙やコーティングされた紙製品に使われることが多いです。
「永遠の化学物質」とも呼ばれ、
これらの物質は環境中に残りやすく、
空気、水、土壌に長期間残る性質があり、汚染します。
PFASは健康にもリスクをもたらすため、紙製品が必ずしも健康や環境に優しいとは限らないのです。
PFASは人体内に蓄積し、このような健康リスクを引き起こす可能性があります。
◾️内分泌かく乱作用
ホルモンバランスに影響を与えることで、生殖機能や成長に悪影響を及ぼすことがあります。
◾️免疫機能の低下
感染に対する抵抗力が低下し、
体が感染症や病気に対して抵抗力を失います。
アレルギー反応や風邪やインフルエンザ、細菌感染などにかかりやすくなり、
病気にかかった際の回復が遅くなることがあります。
◾️がんリスクの増加
特に腎臓や精巣がんとの関連性が指摘されています。
◾️高コレステロール
血中コレステロール値の上昇に寄与することがあるため、心血管系の健康にも影響を与える可能性があります。
多くの人々が「紙製品は環境に優しい」と考えていますが、実際にはすべての紙製品がエコであるとは限りません。
特に温室効果ガス（GHG）や永続性のある有害化学物質であるPFAS（ペルフルオロアルキル化合物）の環境問題。
環境への負荷を軽減するためには、
紙製品だけに依存せず、
代替品を含む多様な選択肢を取り入れることも重要です。
また、再生紙の使用や、環境に優しい製造プロセスを採用しているメーカーの製品を選ぶことが、より持続可能な選択につながります。
私たちが選ぶ製品が環境に与える影響を理解し、より環境に優しい選択をすることが、持続可能な社会を構築するための第一歩となります。
私も今回、トランプ大統領の紙ストロー廃止の決定で改めて環境と健康に関連する選択を考えさせられました。
私たちが選択する製品や使用方法には、
環境への配慮が求められていることを忘れないようにしましょう！